五重塔 伽藍と境内 Sculpture

 室生寺の山号は「宀一山(べんいちさん)」で、室のウ冠と生の最終画の一をとったものです。ウ冠は山に覆い隠すことを、一は最も優れた大切なものがあることを示し、この地が神仏であり如意宝珠であることを意味しています。そんな神聖な土地に立つ室生寺は、独特の仏教文化を形成し、希少な平安時代初期の仏教美術を受け継いできました。

堂内に安置されてきた国宝や重要文化財指定を受けている仏像は、修復を繰り返しながら外気の寒暖差と湿度変化に耐え、千年以上もちこたえてきました。しかし、地球温暖化は山内の環境にも影響を及ぼしています。次の世代へと仏像を受け継ぐことを考えると、お堂の環境を整えることが必要ですが、お堂そのものが文化財に指定されているため手を加えることが許されていません。また、老朽化した寳蔵では湿気や虫喰いから什宝を守ることも難しく、文化財の保護と分散を目的として寳物殿が建設されることとなり、令和二(二〇二〇)年三月に落慶しました。

金堂内陣に安置されていた十一面観音菩薩立像、地蔵菩薩立像、十二神将立像の内の辰神・未神・巳神・酉神・卯神・寅神の六体と、弥勒堂の外陣北側の厨子前に安置されていた釈迦如来坐像、灌頂堂の両部大壇、その他、寳蔵の什宝が収蔵されています。
寳物殿の落慶により、室生の地で大切に守られ、祈りこまれてきた寺宝は、次の世代へと受け継がれていくのです。